営業の「自責思考」が、事業の弊害になる場合もある

営業の「自責思考」が、事業の弊害になる場合もある

営業は他責思考より、自責思考の方が好まれることが多いと思います。

例えば、失注した際に「ニーズがなかった」と解釈する人よりも「自分の営業が悪かったので、改善しよう」と考えることを正とする、などです。

基本的に獲得できるようになる(営業力を伸ばす)点で、この自責思考は賛成です。

しかし、そのような自責思考も事業の立ち上げ期と衰退期に関して弊害になる場合がある、と感じたのでそちらの内容を記載します。

営業は基本的に自責思考の方が伸びやすい

自責思考のメリットは、自分の中でPDCAを回すきっかけになるので、自分の営業を改善することができる点です。

例えば、他責思考では失注した時に「商品のニーズがなかった」「競合他社に比べて自社サービスの料金が高い」などを、外的要因を失注した理由としてしまいます。

一方で、自責思考の場合、失注した際に「次はこのようなヒアリングを入れてみよう」「提案の仕方を変えてみよう」など内的要因を失注した理由として考えます。

そのため他責思考に比べ、自責思考の方が自分でコントロールできる範囲の行動の改善するきっかけが生まれるため、結果的に内省→行動変化→営業力強化の好循環を得ることができます。

以上のような理由から、営業は基本的に自責思考の方が営業力を伸ばしやすいでしょう。

立ち上げ期と衰退期での自責思考は危険

しかし、以下の2つの事業フェーズの時にこの自責思考が良くない方向に働く場合があります。

①事業の立ち上げ期
②事業の衰退期

以下、順を追って見てみましょう。

①事業の立ち上げ期に関して

事業の立ち上げ期は、事業がまだ確立していない不安定な状態です。

この状態で、自責思考で営業を行ってしまうと、営業方法ばかりが改善されてしまいます。

営業方法を改善していくと、一定数契約を獲得することはできるでしょう。

しかし、時間が経つにつれ、営業方法の改善に限界が来ます。

そうなった時に初めて実は事業が立ち上げっていなかったことが明らかになります。

すると、すでに顧客を獲得してしまっているので、いまさら事業内容を変更や撤退などの動きは取れない(取りにくい)という弊害に繋がってしまいます。

②事業の衰退期に関して

市場環境の変化などで事業が衰退している場合も同様です。

この場合、衰退している市場を小手先の営業でカバーする結果になるので、ゆっくりと売り上げは下がっていきます。

そうすると、市場の衰退に気づくことが遅れるため、最終的に事業内容の変更や撤退の判断の遅れにも繋がる可能性があります。

自責思考の弊害を避けるために必要なこと

以上のように、基本的に営業力改善に役立つ自責思考ですが、場合によっては弊害をもたらすこともあるので取り扱いには注意が必要です。

最後にこのような自責思考の弊害を防ぐためには、以下の2つを行っておくのが良いのではないかな?と思ったのでそちらの内容の共有になります。

①自責思考と他責思考を使い分ける

今まで見てきたように、事業のフェーズや市場環境の変化によっては自責思考は悪い方向に働きます。

そのため、状況に応じて自責思考と他責思考を使い分けて考えることも重要なのではないかと思います。

②営業部の意見を吸い上げることができる仕組みを作っておく

組織として、営業部からの意見を「他責思考」と全て突っぱねるのではなく、意見を吸い上げて検討する仕組みを作っておくことも重要でしょう。

優秀な人材の場合、上手く販売してしまうので、一見事業自体は順調に進んでいるように見えますが、実は人間関係だけで販売していた、なども考えられます。

そのような場合、再現性がない営業であり、事業自体にニーズあるわけではないので、その人材が退職した際には事業が回らなくなってしまうでしょう。

そのため、見かけの数字に騙されない、市場環境の変化を吸い上げる仕組みが必要かなと考えています。

方法としては、ある程度頻度を決めて、営業同席を行ったり、web商談の録画データを見直してみたりするのが良いかもしれません。

以上、営業の「自責思考」が、事業の弊害になる場合もある、という内容でした。

ここまでお読み頂きありがとうございます。

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